.okaun. .junpen. no'u la .telesan. / OKAŬ Ĵunpe aŭ Telesa / OKAU Junpe eller Telesa / 大川純平 テレサ

では、スペイン人はなぜ自由に殺し、奪い、言語に絶する残虐行為を犯してよいと感じたのであろうか。なぜ、インディアンの置かれた状況に同情をおぼえなかったのだろうか。その答えは、私が思うのに、その勝利の唐突さにある。スペイン人はその征服の容易さを、ヨーロッパ文明の、そしてキリスト教の優越性のあかしとみた。インディアンが敗北したのは、彼らが静的な退嬰的（引用者注・たいえいてき）な社会集団で、挑戦を受けたとき効果的に対応できなかったためである。彼らはすぐに屈服してしまい、同じあっけなさで彼ら自身の神を捨てて、キリスト教に帰依（引用者注・きえ）した。ヨーロッパ人征服者にとっては、インディアンは語るべき何の物語も持たなかった。実際、インディアンは書かれた言語を持たなかったから、その歴史や信仰についての記述はヨーロッパ人にゆだねるより仕方がなかった。ラテンアメリカでインディアンの権利の無視がつづいているのは、こうした初期の出会いに由来している。
（トーマス・R・バージャー著ちょ。藤永ふじなが茂しげる訳やく。『朝日選書464　コロンブスが来てから』。1992年ねん。36-37頁ぺーじ。）

「インディアン」が「すぐに屈服してしま」ったのは、周まわりに尊敬そんけいすべき人ひとがたくさんいて、その人ひとたちのことで頭あたまがいっぱいで、敵てきとたたかうことなど二にの次つぎだったからじゃないかな。そして敵てきに殺ころされた。

誰だれかを尊敬そんけいしていることを身みをもって示しめすということは、こういうことを指さすのではないだろうか。

約やく80年はちじゅうねん前まえに良よき夫おっとであり良よき父親ちちおやである日本人にほんじんが中国人ちゅうごくじんに対たいしては人殺ひとごろしだった。本多ほんだ勝一かついちさんの『南京への道』が私わたしが戦争せんそうに関心かんしんをもつきっかけだった。そのような「良よき夫おっとであり良よき父親ちちおや」を何なにがつくるのかはおぼろげながらわかる。しかしどう防ふせげるのかはわからない。

相手あいての今いままでの生いき方かたが間違まちがっていると指摘してきするには、同おなじく自分じぶんの人生じんせいもまな板いたにのせるような、それなりの覚悟かくごが要いる。そして批判ひはんというのはたいていそのまま自分じぶんに跳はね返かえってくるものであるから、結果けっかとしては、良よくて相打あいうち、悪わるくて自分じぶんだけが死しんで相手あいては聞きく耳みみをもたないというものだろう。

このような命いのちの使つかい方かたは好このんでやることではない。優先ゆうせんすべきことではないように思おもう。

身みの周まわりに尊敬そんけいすべき人ひとがいる限かぎりは、その人ひとたちから学まなぶことこそ優先ゆうせんすべきことだと思おもう。

殺ころされる状況じょうきょうにありながら生いきていること、このことが奇跡きせきだと私わたしは思おもうし、そのような人ひとを私わたしは尊敬そんけいしている。だからこそ、そのような人ひとを頼たよりにしすぎるのではなく、上うえから目線めせんで救すくってあげるのでもなく、仲間なかまとして、同おなじ殺ころされる側がわとして生いきたい。


ところで、橋下はしもと徹とおるさんの「言論げんろんテクニック」とは侵略者しんりゃくしゃのそれとしか思おもえないが、まあ、面白おもしろい。

『マガジン9条』連載れんさい・中島なかじま岳志たけしさんの「橋下徹の言論テクニックを解剖する」http://www.magazine9.jp/hacham/111109/index.php