政治

私が政治に興味を持ったきっかけは、二〇〇一年の九・一一のアメリカでのテロだった。
それに反応してアフガニスタンを攻撃したアメリカの当時大統領のジョージ・ブッシュさんに対して、何か間違っていると感じながらも、はっきりそれを批判できないでいる自分が怖ろしかった。

それから、歴史は九・一一からいきなり始まったわけではないことを知った。

アメリカのせいで、それまでにどれだけのパレスチナ人が殺されてきたのか。

その土地に今まで住んでいた自分たちの頭越しに、ユダヤ人の国を作ることをイギリスがユダヤ人に勝手に「約束」したことで、住むべき土地を追われ、挙句は、アメリカの強力な援助によりそのイスラエルに攻撃されるという不条理。

なぜアメリカの武器で攻撃されるのかと言えば、アメリカでユダヤ人が大きな票田であるというアメリカ国内の都合による。

パレスチナ問題だけではない。この、自分の勝手な都合で紛争地に介入して片一方を援助するという構図は、世界中で見られるではないか。
アメリカは軍需産業で経済を回している国だった。

驚くべきではなかったのだ。殺された側からすれば、戦争や紛争という形だろうが、テロという形だろうが、仕返しをしていることには変わりない。

ところが、これだけ外国で大量の殺人を繰り返して恨みを買っておきながら、アメリカの有権者は無関心でいる。
そしていざ自分の国が戦場になった途端にテロだと驚き、自分たちの被害をことさらに強調する。

ウサマ・ビンラディンさんを殺害したことについて、バラク・オバマさんは正当だと言う。
それを主張するなら、同じ論理は自分たちに跳ね返ってくるということにどうして気付かないのだろう。
バラク・オバマさんやジョージ・ブッシュさんがいかに極悪人とはいえ、彼らを銃殺すれば状況が改善するとは私は思っていない。

問題なのは彼らを支持する人たちだ。
そしてアメリカの侵略戦争に、基地やら住居やらを特別待遇で提供し、全面協力している私たちも殺す側だ。

「知らなかった」で済むのだろうか。「無関心だった」で済むのだろうか。

殺された側にとって、それで済むのか。ここは民主主義の国だ。

前の戦争では、責任は全て軍にあり、「国民の私達はだまされていた」と言う。

また同じことを繰り返すのか。

せめて殺すことのない世の中にして欲しい。