『週刊しゅうかん金曜日きんようび』の引用いんよう

北原きたはらみのりさんの文章ぶんしょうを読よんで涙なみだ。

　子どもがライターを使い、火事を起こして死亡した事件が続いたことが、この規制の発端になった。そういう悲劇はなくなってほしい。それでも、私にはわからない。「火が危険」と子どもに教えることと、ライターを規制することの間にあるものが。
　正しいことを迷いながら求めつつも、いろんなことが徹底的にずれていく感じを、ずっとずっとこの国にいて感じている。安全とは何だろう。暮らしやすい社会とはどういうふうにつくられるのだろう。なぜ、こんなにも今、私は息苦しいんだろう。
　少し前、野田佳彦首相が国連総会の演説で「日本の原発は世界最高水準の安全性をめざす」と宣言した。そもそも安全ではないものに、”世界最高”の安全水準などない。まだ続ける気か！と言葉を失う。
　原発の責任者が誰ひとり書類送検されていないのに、ライターを捨てた人が書類送検される社会。私には物事の理とか、安全とか、そういうことの基準とか、私たちがどこに向かおうとしているのかが、よくわからなくなってる。笑うしかない感じ。ライターですか。ライター二四五個で、書類送検ですか。

（北原みのり。「メディア仕分け人 vol.31」。『週刊金曜日』10月7日号。44頁。）

ひとつひとつ言葉ことばにして言いったらいいんじゃないかな。