スウェーデンのお話です。
あるところに、ピッピ・ロンストルンプという九歳の女の子が住んでいました。一人で住んでいて、学校にも行っていませんでした。
町のおばさんやおじさんたちは、「これは良くない」「叱る人がいなくてはいけない」「学校にも行かなくてはいけない」「かけ算の九九も習わなければいけない」と話し合いました。「かけ算の九九を習わないと生きていけないのだから」と。
ブルムクヴィストさんとルンディーンさんが代表者に選ばれて、ピッピに孤児院に入るように伝えることになりました。
ピッピはその日しょうが入りクッキーを作っていて、台所の床に生地を伸ばしているところでした。生地が大量だったので、台所の床に直に伸ばしたのです。
玄関のチャイムが鳴り、ピッピが体中小麦粉でまっ白で出て行くと、ブルムクヴィストさんとルンディーンさんが玄関の中に入ってきました。
「こんにちは。ヴィッレクラ荘に引っ越してきたのはあなた?」とブルムクヴィストさんは言いました。ヴィッレクラ荘というのが家の名前でした。
ルンディーンさんはピッピを上から下まで眺めると、ピッピの赤い髪の毛についてこう言いました。
「ブルムクヴィストさんはこんな髪の毛を見たことありますか。大きくなったらましになるかもしれないが、今はきれいではとてもない。」スウェーデンでは金髪が普通だったのです。もっとも、ルンディーンさん自身は頭に毛が全くありませんでした。
ピッピはこう言いました。
「私考えてるんだ。」
「何を考えているんだね。」とルンディーンさんは言いました。
「髪の毛のことだけどね。あなたの毛は、髪の毛があった頃には、何色だったのかなって。たぶん青色かな。でもそれとあなたの赤い鼻と、何という組み合わせだろうって。」
ルンディーンさんは顔を真っ赤にして怒りました。大人は子供に対して何を言っても構わないと思っていたけれど、子供が同じようにするのは気に入らなかったのです。
「そんな恥知らずなら、ムチで袋叩きにしてやるぞ。」
「それは楽しみ。私フィンランドでムシブロに入ったことある。すごく良かったよ。」
ブルムクヴィストさんが割って入って、自分たちが来た理由を話しました。町の親切なおばさんやおじさんたちがピッピを子供の家(孤児院)に入れるようにしてくれた、と。
ピッピは言いました。
「でも、私子供の家にはもう入っているよ。」
「本当?もうそうなっているの?どこの子供の家?」
「ここ。」とピッピは言いました。「私は子供で、これは私の家。だからこれは子供の家。空きも十分あるよ。」
ブルムクヴィストさんとルンディーンさんは寛大に笑いました。
「あなたは分かっていないよ。ちゃんとした子供の家に入って、面倒をみてもらわないと。」
「馬は入れるの?」とピッピは聞きました。
「もちろんだめだよ。」
「そうだと思った。でもサルは?」
「もちろんだめ。」
「そう、なら、どこでも好きなところであなたたちの子供の家に入る子を見つけたら。そんな子が見つけられたらね。私は入らないから。」
「うん、でも、学校には行かなくちゃならないでしょう。」
「なんで学校に行かなくちゃならないの?」
「もちろん、いろんなことを勉強するためだよ。」
「どんなこと?」
「あらゆることだよ。役に立つことをいっぱい。かけ算の九九とか。」
「私はかけ算の九九がなくても九年間うまくやって来れたよ。だから、また九年間それなしでやって行こうと思っていたところ。」
「でも、考えてみて。大きくなって、誰かにポルトガルの首都はどこって聞かれるかもしれないよ。そのときにあなたは答えられないよ。」
「私は答えられるよ。あなたがそんなにポルトガルの首都がどこか知りたくてたまらないんだったら、ポルトガルに直接手紙を書いて聞きなよって答える。」
「でもあなた自身が知らないのは嫌だと思わない?」
「それはそうだよ。夜、横になってたまに泣いて、『ポルトガルの首都はどこだろう』ってずっと悩んでるかもしれない。でも、楽しいことばかりじゃないから。」
ピッピはそう言うと、逆立ちをしました。それでもしゃべれるからです。
「それに私リスボンには行ったことあるし。」
しかしルンディーンさんは完全に怒ってしまっていて、とびあがると、こう言いました。
「こんなしつけのなっていない子は初めてだ。でも子供の家には行かないといけないぞ。行きたくなくてもだ。」
ブルムクヴィストさんも怒って言いました。
「そう、そこで行儀良くすることを覚えなさい。」
ピッピはこう言いました。
「私の庭からの眺めは気持ち良いよ。なかなか他では見られない。見たい?」
そう言うと、ピッピは力が強かったので、ルンディーンさんをつかんで、人形のように軽々と運んでいきました。それから驚きで固まっているブルムクヴィストさんをつかむと、同じように庭に運んでいきました。
「ちょっと待ってて。」とピッピは言うと、家の中に入って、ハート型のショウガ入りクッキーを二枚持って来ると、ブルムクヴィストさんとルンディーンさんに渡しました。
「少し味見してみない?少し焦げてるけど気にならないでしょう。」
ブルムクヴィストさんとルンディーンさんはしばらく動けないでいましたが、それから庭からさっと出て行きました。
ピッピはクッキー作りに戻りました。
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