ロジバンの接続詞は”一見”複雑に見えるので、私なりのやり方で解説してみたい。
文と文をつなぐ接続詞は、例えば
「私はお店に行く」という文と
「あなたはお店に行く」という文が
どういう関係にあるのかを表す。それは否定文と組み合わせて表せる。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」
この四つの組み合わせのどれがありうるか、ということだ。
このうちのどれか一つだけということなら、簡単だ。(日本語では接続詞の「そして」を間にはさんで表現できる。)
「私はお店に行く」-(そして)「あなたはお店に行く」
「私はお店に行く」-(そして)「あなたはお店に行かない」
「私はお店に行かない」-(そして)「あなたはお店に行く」
「私はお店に行かない」-(そして)「あなたはお店に行かない」
それぞれ四つの言い方ができる。
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二つの組み合わせが当てはまる場合はどうか。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
これはつまり、「あなたが行こうが行くまいが、私はお店に行く」ということだ。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これは、「あなたが行こうが行くまいが、私はお店に行かない」ということ。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
これは、「私が行こうが行くまいが、あなたはお店に行く」ということ。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これは、「私が行こうが行くまいが、あなたはお店に行かない」ということ。
以上で四つの言い方。
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さらに…
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これはつまり、「私がお店に行くならあなたも行く。私が行かないならあなたも行かない。」もしくは、「あなたがお店に行くなら私も行く。あなたが行かないなら私も行かない。」ということ。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
これはつまり、「私がお店に行くなら、あなたは行かない。私が行かないなら、あなたは行く。」もしくは、「あなたがお店に行くなら、私は行かない。あなたが行かないなら、私は行く。」ということ。
以上で二つの言い方。
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三つの組み合わせがありえる場合はどうか。これが一番ややこしい。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
これはつまり、「私がお店に行くか、あるいはあなたが行くか、あるいは両方が行くか」ということ。
(言い換えれば、「私とあなたの両方がお店に行かないことはありえない。」)
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これはつまり、「私がお店に行かなくても、あなたは行く。あるいは両方が行く。」ということ。
(言い換えれば、「私がお店に行って、あなたが行かないことはありえない。」)
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これはつまり、「あなたがお店に行かなくても、私は行く。あるいは両方が行く。」ということ。
(言い換えれば、「私がお店に行かなくて、あなたが行くことはありえない。」)
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これはつまり、「私がお店に行かないか、あなたが行かないか、あるいは両方が行かないか。」ということ。
(言い換えれば、「私とあなたの両方が行くことはありえない」)。
以上で四つの言い方。
…やっぱり複雑に見えてしまうだろうか?
とはいえ、これで十四通りの言い方になります。
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上に大きく分けた群れをロジバンではそれぞれ< .i je >< .i ju >< .i jo >< .i ja >を使って言い表せます。否定は< na >を付けて表します。
一番上の群れなら、< .i je >を使い、
*
「私はお店に行く」-( .i je )-「あなたはお店に行く」
*
「私はお店に行く」-( .i je )-「あなたはお店に行かない( na )」
*
「私はお店に行かない( na )」-( .i je )-「あなたはお店に行く」
*
「私はお店に行かない( na )」-( .i je )-「あなたはお店に行かない( na )」
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二番目の群れを見てみます。
*
「私はお店に行く」 - 「あなたが行こうが行くまいが」
これには< .i ju >を使い、
「私はお店に行く」-( .i ju )-「あなたはお店に行く」
という形にします。
組み合わせの形はこうでした。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
分かりやすいように、否定文には否定と書くと、こうです。
「…」-「…」→ありえる
「…」-「…否定」→ありえる
「…否定」-「…」
「…否定」-「…否定」
*
上の表に、前の文を「私はお店に行かない」と否定文にして、当てはめてみます。
「…否定」-「…」→ありえる
「…否定」-「…否定」→ありえる
「…否定否定」-「…」
「…否定否定」-「…否定」
否定の否定は肯定になるので、整理すると、
「…否定」-「…」→ありえる
「…否定」-「…否定」→ありえる
「…」-「…」
「…」-「…否定」
つまり、
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
となります。
これは、「私はお店に行かない」 - 「あなたが行こうが行くまいが」ということです。
これが前の文を否定にした言い方
「私はお店に行かない( na )」-( .i ju )-「あなたはお店に行く」
なのです。
*
ちなみに、後の文を「あなたはお店に行かない」と否定文にして、表に当てはめると、こうなります。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
つまり、「私はお店に行く」‐「あなたが行こうが行くまいが」という意味で、
「私はお店に行く」-( .i ju )-「あなたはお店に行く」
と同じです。
*
また、両方を否定文にして表に当てはめると、こうなります。
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
つまり、「私はお店に行かない」‐「あなたが行こうが行くまいが」という意味で、
前の文を否定文にした言い方
「私はお店に行かない( na )」-( .i ju )-「あなたはお店に行く」
と同じです。
*
「私が行こうが行くまいが…」と言いたければ、前と後の文をひっくり返すしかありません。
「私はお店に行く」-(ひっくり返す .i ju )-「あなたはお店に行く」
ひっくりかえした「あなたはお店に行く」‐「私はお店に行く」をこの順で表に当てはめると、こうなります。
「あなたはお店に行く」-「私はお店に行く」→ありえる
「あなたはお店に行く」-「私はお店に行かない」→ありえる
「あなたはお店に行かない」-「私はお店に行く」→×
「あなたはお店に行かない」-「私はお店に行かない」→×
つまり、「あなたはお店に行く」‐「私が行こうが行くまいが」となります。
*
また、後の文を否定文にしてひっくり返す場合を見てみます。
「私はお店に行く」-(ひっくり返す .i ju )-「あなたはお店に行かない( na )」
ひっくりかえした「あなたはお店に行かない」‐「私はお店に行く」をこの順で表に当てはめると、こうなります。
「あなたはお店に行かない」-「私はお店に行く」→ありえる
「あなたはお店に行かない」-「私はお店に行かない」→ありえる
「あなたはお店に行く」-「私はお店に行く」→×
「あなたはお店に行く」-「私はお店に行かない」→×
つまり、「あなたはお店に行かない」‐「私が行こうが行くまいが」となります。
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次の群れを見ます。
*
「あなたがお店に行くなら私も行く。あなたが行かないなら私も行かない。」
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
これはロジバンではこう表します。
「私はお店に行く」-( .i jo )「あなたはお店に行く」
*
前の文を否定文にしてみます。
「私はお店に行かない( na )」-( .i jo )「あなたはお店に行く」
表に当てはめると、こうなります。
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「あなたがお店に行くなら、私は行かない。あなたが行かないなら、私は行く。」となります。
*
ちなみに、後の文を否定文にすると、
「私はお店に行く」-( .i jo )「あなたはお店に行かない( na )」
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
つまり、「私がお店に行くなら、あなたは行かない。私が行かないなら、あなたは行く。」
となり、同じ意味です。
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最後に、ややこしい三つの組み合わせを含む言い方です。
*
「私がお店に行くか、あるいはあなたが行くか、あるいは両方が行くか」
これはロジバンではこう表します。
「私はお店に行く」-( .i ja )「あなたはお店に行く」
表はこうでした。
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→×
*
前の文を否定文にしてみます。
「私はお店に行かない( na )」-( .i ja )「あなたはお店に行く」
表に当てはめると、
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→×
これは、「私がお店に行かなくても、あなたは行く。あるいは両方が行く。」ということです。
(言い換えれば、「私がお店に行って、あなたが行かないことはありえない。」)
*
後の文を否定文にしてみます。
「私はお店に行く」-( .i ja )「あなたはお店に行かない( na )」
表に当てはめると、
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→×
これはつまり、「あなたがお店に行かなくても、私は行く。あるいは両方が行く。」ということ。
(言い換えれば、「私がお店に行かなくて、あなたが行くことはありえない。」)
*
両方を否定文にしてみます。
「私はお店に行かない( na )」-( .i ja )「あなたはお店に行かない( na )」
表に当てはめると、こうです。
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行かない」-「あなたはお店に行く」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行かない」→ありえる
「私はお店に行く」-「あなたはお店に行く」→×
これはつまり、「私がお店に行かないか、あなたが行かないか、あるいは両方が行かないか。」ということ。
(言い換えれば、「私とあなたの両方が行くことはありえない」)。
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今まで言った言い方をまとめると、こうです。
... .i je ...
... .i na je ...
... .i je nai ....
... .i na je nai ...
... .i ju ...
... .i na ju ...
... .i se ju ...
... .i se ju nai ...
... .i jo ...
... .i na jo ... (... .i jo nai ...)
... .i ja ...
... .i na ja ...
... .i ja nai ...
... .i na ja nai ...
十四通りです。短く、分かりやすくするつもりが…、めっちゃくっちゃ長くなりました。
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全く話は関係ありませんが、今日付けの『しんぶん赤旗』の投書欄にて久保みきさん関連で私の名が出ています。